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木地 工房 千wood
キジ コウボウセンウッド
KIJISHI KOUBOU SENWOOD
石川県
山中漆器
木地師
木地師とは?木のプロの技を食卓に届けたい。
木地師(きじし)とは、お椀など、塗装される前の丸い木製の器を作る職人のこと。木工用の轆轤(ろくろ)を回して、木材の塊からイメージする形状を削り出します。
その削り出す作業を「挽く」と言い、挽きあがっていく光景は、昔の映画のフィルムのように画面が移り変わっていく、いつまで見ていても飽きない手技です。
日本三大漆器「山中漆器」代名詞はろくろ挽き
漆器産地の中で山中漆器は最も木地師が多く、挽物木地の生産規模は日本一。全国の漆器産地や漆作家からここ加賀、山中へ木地の発注が集まります。
応援数残り10口
ニーズと伝統の見極め
漆器屋(デザインを決めて)→木地屋(木地を挽き)→下地屋・上塗屋・蒔絵屋(塗りや絵付け)
このように漆器も分業によって作られます。
それぞれに異なる技術が必要であり、漆器は全工程を一人で作るのがとても困難な工芸といえます。
そして高い品質とそうした分業過程から、漆器は高価になっているのです。
工程の一部から、主役へ
木地師佐竹泰誌氏の工房千樹を訪ねてお話を伺いました。
“持っているけど、日常使いはできない”や“来客用として”と家庭のなかでも高嶺の花になっている現状が、産業低迷の一因だと佐竹氏はみています。
佐竹氏:祖父の代からの工房で、産地としての仕事、日本中の作家さんからの依頼仕事も多くしているなかで、自身の感性に基づくこだわりぬいたアーティスティックな作品も手がけ技術も磨いています。
しかし一方で、扱いやすく、そして緊張感なく食卓に出しやすい製品を作ることが産業や技術を守ることに繋がるんだと思うのです。
そこからスピンアウトして生まれた新しいライン「工房千wood」。
工房千woodでは、より現代的かつ消費者目線のものづくりを行うため、妻である堂向郁絵氏がディレクターとして監修しています。
堂向氏:木地師が、毎日木地を挽きあげている中で、自分たちが気持ちのいいと思う形や、口当たり、そして美しい木目を拭漆(ふきうるし:木目の素地が見える透明仕上げの漆)やウレタン仕上げで見せながら、普段は漆に隠れている木地師の技術も感じてもらいたいです。
そして、もう一つものづくりに欠かせないのは担い手ですが、この工房千woodでは、人材育成にも一役買っている。
佐竹氏:職人は、いろんなコンセプトの手仕事をやりながら育つのが理想。今日は工房千樹で伝統的に、今日は工房千woodで現代的かつ自由に。という具合に。
さらに、
佐竹氏:やはり5年くらいを目処に考えないと。木は自然のものですから、硬ければ硬いなりに、柔ければ柔らかいなりに扱いは異なります。トータルで木のことを理解できてくるのが5年後でしょう。
生木(木地を挽く前の荒型)の乾燥には長いもので3〜4年かかるそう。
技術と知識に幅を持たせながら、木も人もゆっくり育てていきたいと語ってくれました。
今後の展望
樹木は、桜、樫(かし)、楢(なら)、欅(けやき)、栃(とち)、橅(ぶな)を使い、製品は、お椀,トレー,皿カップ,ぐい呑,スプーン,バターナイフ等まで木地師の技術を広げています。販売は現在オンラインショップがメインですが、手触りを知って買って欲しい部分とはアンマッチ。ここを解消し、しっかりと山中木地師の技術を食卓へ届けるために販売面の改善が必要です。谷マチからのメッセージ
笑いの絶えない素敵な夫婦、しかし仕事の話になると真剣な眼差しで話をしてくださいます。樹木医のような知識で木と向き合って生産する職人佐竹氏と。明るい笑顔の中で冷静に物事をみるしっかり者のディレクター堂向氏。この二人のシナジーによる発展が加賀、山中を元気にします。是非、裏方木地師に陽の目を浴びせましょう。