グローバルナビゲーションへ

メニューへ

本文へ

フッターへ

応援する

  1. トップ
  2. 応援する
  3. 西尾 香織

ほうき職人 西尾 香織
(棕櫚箒)

西尾 香織

応援数残り10

  • instagram
  • ホームページ

西尾 香織

ニシオカオリ

NISHIO KAORI

和歌山県 ほうき職人 棕櫚箒

家電時代、粋な箒(ほうき)で日本の心もきれいに。

弟子入り当時、師匠は79歳。一人の後継者もいませんでした。師匠は「最後の棕櫚箒職人」とも謳われた名工「桑添勇雄」。一刻も早く誰かが技術を継承しなければ、日本人が数百年かけて高めてきた棕櫚箒作りの技術が完全に失われ、二度と同じ品質の箒が作れなくなってしまう。
西尾と棕櫚箒、その物語。

棕櫚箒(しゅろほうき)との出会い

広島県生まれ。芸大を卒業しデザイン会社に就職したのち、景色のいい暮らしを求めて和歌山へ。
印刷会社のお仕事で、地元文化のリサーチするために図書館で開いた一冊の本。そこに載っていたのが「棕櫚箒と後の師匠である職人 桑添勇雄」の姿でした。そしてそこには、箒の素晴らしい佇まいとともに、後継者はいないという現実がありました。「もったいない、自分にできるのだろうか、やりたい」そんな気持ちが西尾によぎります。

応援数残り10

覚悟を持って受け継ぐ、伝統産業。

4年の自問自答


棕櫚箒に限りませんが、歴史ある伝統的なもの作りの技術は地域の大切な財産。そのため地元の人が継承するのが理想だという思いがあり、他県出身で何のゆかりもない自分が声を上げるのはどうなのか。あるいは、もし挑戦したところではたして自分に習得出来るのか、箒作りの仕事で食べていけるか。さらに移住やお仕事などでお世話になった方に申し訳なさから、「自分がやることはない」そう言い聞かせて、諦める道を選択します。

それからも師匠の棕櫚箒に心惹かれながら4年余り悩み、考え、自問自答を続けた結果、
「後悔のないように挑戦したい!」と弟子入りを決意します。

職人は10年修業してやっと一人前といわれます。その時の年齢(師匠79歳と私29歳)を考えると、技術の継承はギリギリか、もう間に合わないかもしれない。
しかし他に誰も継承しておらず一刻も猶予がないので、もう出来る限りやるしかない。もしも弟子入りを許されるなら一生真剣に取り組む覚悟を持って門を叩きました。
師匠からは「技術の習得に最低5年間。でも何十年やってもダメな場合もある」と言われ、必死に取り組んできました。
見事、最短の5年間で師匠から独立を許されました。

紀美野町の山間の日本家屋で「棕櫚箒製作舎」を設立


そもそも棕櫚箒は名前のとおり、棕櫚の木の幹の皮を穂先の素材に使った和箒です。
種類は三つあり、修理しながら長く使う「本鬼毛箒」と「鬼毛箒(タイシ箒)」それと、修理しないで使い切る「皮箒」があります。箒に使用できる棕櫚の皮の品質基準は厳しく、中でもこの紀美野町周辺はかつて日本一の棕櫚皮の産地でした。
しかし、箒に必要な良質の棕櫚皮は、国内ではもう50年余りも入手不可能になっています。
理由は「軍需」。棕櫚の強い耐久性から、軍艦の造船現場を目隠しするカーテンや弾薬を入れた箱の持ち手に採用され、本来は持続性の観点から一年で10枚程度しかめくってはいけない皮を、軍需により無理して収穫したため今ではもう箒に使える品質の棕櫚存在しないのです。

したがって棕櫚原料は、師匠の代からすべて中国からの輸入棕櫚材です。
ただし厳選を重ねた、ほんの一握りだけの上質な輸入棕櫚(=それを目の前にすると心躍る、といいますか、テンションが上がって創作意欲がわく極上の棕櫚材)を使用しています。
原料品質の判断基準は、師匠桑添勇雄氏の「和歌山産と輸入品、変わらない品質の箒を作れ」という教え、つまり昔からの上質な国産棕櫚箒と同等かどうか。
過渡期を知っているがゆえの、師から最後の弟子に伝えた伝統(メッセージ)。これを受け継ぎ、これからも同等以上を目指し続けます。

  • 荒れた周辺の棕櫚の木

    荒れた周辺の棕櫚の木

  • 西尾氏が座る位置のそばには師匠の写真

    西尾氏が座る位置のそばには師匠の写真

  • 師匠から独立し設立した棕櫚箒製作舎

    師匠から独立し設立した棕櫚箒製作舎

  • 棕櫚箒に使用する材料

    棕櫚箒に使用する材料

  • 仕入れた材料から西尾氏はさらに厳選する

    仕入れた材料から西尾氏はさらに厳選する

  • 棕櫚箒の完成品

    棕櫚箒の完成品

  • あらゆる用途に存在。これはコーヒーミル用

    あらゆる用途に存在。これはコーヒーミル用

  • こちらは瓶底用

    こちらは瓶底用

  • 専用箒を作ってしまうのが職人の性

    専用箒を作ってしまうのが職人の性

課題

課題はひとえに原料です。原料問屋を通じて仕入れを行いますが、品質に細かく注文を出し、最初のうちはその通りの材料が届いても、そのうちに粗悪品が入ってくるいい加減な有り様。中国の産地の状況が知りたいけど、やはり色々な壁があります。資金がなければロット数など交渉や工夫の余地もないのです。谷マチを通じて棕櫚箒を知って、使って、愛着をもっていただき、是非応援をしていただけると幸いです。

谷マチからメッセージ

京都にはこの棕櫚箒を使うお家がまだまだあります。当社もその一つで、桑添氏製作の箒を使っています。
棕櫚箒の魅力は、1美しい見た目、2いつ買ったか忘れるほどの耐久性、3細かい埃まで集め、床材にやさしく、艶を出す機能性、そして4現代に使っていることが粋なのです。

西尾 香織
和歌山県 ほうき職人 棕櫚箒

西尾 香織

応援数残り10