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切子作家 ともか
トモカ
TOMOKA
東京都
ガラス工芸
切子作家
女流切子作家、孤高の手仕事とかわいい世界。
1995年生まれ。21歳から江戸切子の修行を始め、23歳で独立。
ひとり、黙々と切子に向き合う彼女は、歩みもまた個の力で切り拓いている。
そんな孤高の作家が生み出す、ポップな感性を紹介していきます。
ガラスと出会うまで
幼少期は漫画やゲームが好きな子どもで、その延長でキャラクターなどの絵をかいていました。
次第に絵を描く仕事に憧れを持ち、中学校で美術部に入るとデッサンの勉強をして、絵に力を入れている高校に進学し、油絵を専攻しました。
夏休みの宿題で美術館レポートの宿題があったんです。そこで美術館のチラシを見ていてベネチアンガラスを知り、目を奪われました。実際にサントリー美術館で行われた展示を見て、「ガラスっていいな」と、ふつふつガラスに興味が芽生え始めたんです。
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出会い〜江戸切子の修行、そして
歩み
高校生だったためガラスについてまずどうすればいいのかわからず、ガラスに触れる機会を探しトンボ玉の体験をしに行ったり、高校でできる程度のガラス彫刻をさせてもらったりしていました。
そうするとガラスにのめり込んでいき、調べていくうちに切子に出会ったんです。
一目惚れでした。自分でやってみたいと思い、高2の終わりに東京ガラス工芸研究所(ガラスの専門学校であり、外部も講座制で受け入れていた)で切子の講座を数か月習いに行きました。
「高校卒業したらこの学校に進学したい」
美大に行こうとも思ったが、この時点でガラスがやりたいという意思が固まったため迷いはありませんでした。
そして2年間、同研究所で切子だけでなくガラス工芸を幅広く学び、基礎技術を習得し卒業。
その後は、下町の江戸切子の製作所が切子職人を募集していてそこで約3年間修行を積み、独立へ。
「ともきりこ」の誕生
修行時代は職人という感じで、決められたことを効率よく作ることが求められました。
独立後は一点物、決まったデザインはあるが「フリーハンドや微妙なさじ加減」つまり感覚を大事にしています。
ガラスの素材を作ってくれる吹きガラス職人とイメージを共有し、綿密な相談しながら完全に一点もので作っていくという。
さらに、修行時代は伝統的な江戸切子、左右対称なカチッとしたデザインを軸にしてましたが、私は曲線を使ったりアシンメトリーだったり、伝統的とされる形とは対極のデザインを手掛けています。一見、伝統を逆撫でするように思われるかもしれませんが、違います。これが切子のポテンシャルであり、技術やこういうことも実現できるんだという「幅」として魅せていきたいです。
江戸切子では赤とか瑠璃色などを基本色としますが、私のテーマは「カラフル」。
そしてこれらを投影したブランドが「ともきりこ」です。
多彩な色使いで自在な再現性があることも是非知ってもらいたいです
プロダクト〜女性らしい切子〜
切子は伝統的に男性作家が多く、作風も偏りがちな中で、ともきりこは柔らかさと繊細さが共存します。
大胆な曲線や超絶技巧な細かいカット。まさに女性にしか作れない作品でしょう。
なお現在はグラスや器を中心に製作をしていますが、アクセサリーも得意としています。
元は余ったり割れた素材で作っていたのでさほど力を入れてなかったのですが、予想以上に反響が良かったので、今はアクセサリー用に素材を作ってもらうようになり、今後はもっと力を入れていきたいです。
私にとっては今が理想の修行
学校、修行、そして自由に感性を表現できる今がありますが、この自由な表現環境で、さまざまなデザインや技法にトライ&エラーを繰り返します。
もしかすると挑戦ができる今が「私にとっての修行」であり、ここから新しい切子というものを生み出していきたいです。
課題、今後の展望
現在は個展をしながら自身のECサイトで販売をしており、不定期で個別注文も受け付けている。製作と運営をすべて一人でやっているため、製作だけに時間がかけられないという。
運営面の環境整備が叶えば、海外の販路開拓も視野に入り、がっしりした大きい一点物なども手掛けられると意欲を覗かせる。
谷マチからメッセージ
ともかさんのキャリアはこれからの伝統産業従事者にとって、非常に参考にすべき道のりです。
最短で挑戦をしようとする姿は、実に潔く、凛々しく映ります。
選択と集中による技術習得と、スピーディなアーティスト化による技術供給。
これをあらゆる日本の伝統産業で水平展開できれば、飛躍的に産業の改善となりえるのではないでしょうか。