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七宝焼 太田七宝六代目 野中さつき
(尾張七宝)

太田七宝六代目 野中さつき

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太田七宝六代目 野中さつき

ノナカサツキ

NONAKA SATSUKI

愛知県 七宝焼 尾張七宝

システムエンジニアから老舗の六代目へ

尾張の四つの街で作られる優美な伝統工芸がある。それは金属にガラス質の釉薬を乗せて焼き上げる「尾張七宝(おわりしっぽう)」。幕末のオランダ船により持ち込まれたお皿を手がかりにここ尾張で作られるようになりました。

尾張七宝とは?

七宝焼は陶器ではなく金属を使った焼き物です。まず形となる金属製の素地に下絵を描き、下絵にしたがって細い付箋状の銀線を立て、立体的な輪郭を作る。銀線を立てるときに使う糊は、蘭の根をすり潰したものを水で溶いた天然品。
その銀線の間に釉薬を差して焼成する。
温度は約700〜800度で、色や大きさによって時間や温度を見極めます。
他の七宝と尾張七宝の違いは、銀線を使った有線七宝で、なおかつ焼き上げたのちに研磨をかけるところにある。
そうすることで、質感や透明感が増し立体的な美しさに繋がる。
これらを全て手作業で行います。
太田七宝のこだわりは素地に銀しか使わないこと。銀は絵付が難しく扱いに長けた六代目には、他のベテラン作家からも相談が入る。

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家内工業から芸術へ

創業〜四代目。翻弄された産業衰退と継嗣問題


七宝焼窯元太田七宝は明治20年に初代太田実右衛門が創業し、二代太田為一、三代太田正雄と継承してきた。昭和30年代に入ると、学校の校章や微章などの小物に力を入れ始める。三代目が早逝し、妻の克子が四代目を継承したことで、女性ならではの細やかな技術が小物の品質を向上させ、七宝焼では難しいアクセサリー分野で実績を上げていくことになる。

昭和後期に入り、尾張七宝全体では結婚式の引き出物用の需要が高まり、それまでの手の込んだ技術は簡素化。一時、大量生産指向になったことで低価格化が進み、その後の衰退と廃業が巻き起こります。
そんな中、小物技術で差別化を図れていた太田七宝は業界の危機を乗り越え、五代目へのバトンタッチを目前にします。

しかし、五代目継承を予定していた長男が逝去。
いよいよ真剣に廃業を考えたといいます。
話し合いを重ね「一族で団結し乗り越えていこう」と決意し三代目の長女平野敦子が五代目を継承。
当時は社長含め一族みな給料もほとんど取らず、パートさんを生かすことと、財務体質を改善することに必死だったそうです。

五代目から六代目 異例の抜擢


団結によって太田七宝最大の危機を乗り越えた矢先、五代目が体調を崩します。
その際に、六代目に指名されたのが、野中さつきだ。

野中氏は大学で情報システムを学び、鉄道会社でwebエンジニアとして働き、交通系マネーのシステム構築やロボットの言語プログラムを担当していたといいます。
野中:太田七宝は父親の実家ですが、七宝焼に触れて育ったわけではないのです。ただ、幼い時から手先が器用で、ガラス細工やステンドグラスなどが好きだったので、エンジニアとして働きながら月1回太田七宝の七宝焼教室に通っていました。

その際、本来は中々できない銀線立ての工程を上手にこなしている野中をみて、五代目たちは「これはいけるかも」と思い、白羽の矢が放たれたのだ。

野中:「正直迷いました。」
そう心境を振り返りながら、「でも先代から、継いでくれない時は廃業すると聞いていたし明治からの伝統がなくなるのはもったいない」と思い決断したと当時の心中を語ってくれました。

尾張七宝の厳しい現実


尾張七宝は全国の伝統産業の中でもかなり厳しい実態ではないかと六代目の母は警鐘を鳴らす。
低価格化となったことと、工程全てが手作業という尾張七宝の特性から、どの窯元も、
“夫の収入の補填に妻が七宝を”、あるいは、“夫が七宝をやるなら妻はパートへ”
といういまだに家内工業的な実態があることから「四代目以降も男子で承継していたらかえって潰れていた」と赤裸々に振り返りました。
尾張七宝が再び世界に輝きを放ち、芸術として自立することが太田七宝の悲願なのです。

  • 下絵を描く

    下絵を描く

  • 銀線立てに使う糊の原料:蘭の根っこ

    銀線立てに使う糊の原料:蘭の根っこ

  • 下絵に沿って銀線を立てる

    下絵に沿って銀線を立てる

  • 七宝に使うカラフルな釉薬は、

    七宝に使うカラフルな釉薬は、

  • 砂状の色ガラスを水や糊でのばしたもの

    砂状の色ガラスを水や糊でのばしたもの

  • 釉薬をさす

    釉薬をさす

  • 電気窯で焼成する

    電気窯で焼成する

  • 美しい作品の完成

    美しい作品の完成

  • 太田七宝のある津島市のシンボル「藤」

    太田七宝のある津島市のシンボル「藤」

資金の使途

タニマチさんからの資金は、太田七宝でこれまで幾度もあった後継課題の払拭するため、早めの七代目の育成を始めることと、
「七宝とガラスとの融合」などの新しい芸術の創出に使っていきたいです。

谷マチからメッセージ

谷マチの取材で、最も初期にお会いした作り手の一人がこの野中さん。「別の業界から入った身だからこそ、産業の従事者不足、職人の後継者不足をひしひしと感じており必死に技術を繋ごうとしております。より多くの方に七宝焼の魅力を知っていただくきっかけになればと」と連絡をいただいたことが我々の原動力になりました。

太田七宝六代目 野中さつき
愛知県 七宝焼 尾張七宝

太田七宝六代目 野中さつき

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